本の感想#103

D a t e    2017/8/21

 貨幣論 岩井克人 筑摩書房 1993/3刊

 1993・6・23 有隣堂

 価値形態論
 交換過程論
 貨幣系譜論
 恐慌論
 危機論

  1991年春から1992年冬まで、季刊誌「批評空間」(福武書店)に連載された論文がベース
   編集委員 柄谷行人、浅田彰
 「貨幣とは何か?」という抽象的な問いをめぐる抽象的な考察である。
 「色恋さえも」と宰相グラッドストーンは言う。「貨幣の本質についてのせんさくほどは
  多くのひとびとを愚かにしたものはない」
 貨幣についてまともに論じたければ「貨幣とは何か?」という問いにまともに答えてはいけない
 木で鼻をくくったような答えが、けっしてたんなる虚仮脅しでも同義反復でもないことを
 示してみるのが本書のひとつの目的である。
  貨幣と商品とのあいだの関係、言語学において言語と事物とのあいだの関係を論ずる
ことと、形式的な同一性。言語学における記述主義と反記述主義との対立。