D a t e 2019/10/05
「影裏」 沼田真佑 新潮文庫 2019/9刊
157回芥川賞受賞作
盛岡 生出川 少年時代に家族で暮らした所沢の古い借家
言い張った。ほとんど意地になっていた。
こんな些末なトピックも隣人に触れ回らずにいられない。たぶん寂しさからくる自制心の衰え
「廃屋の眺め」
銀鮒。雌ばかりでむやみに存在。それが他のどんな魚類の雄からまき散らされたものであれ
、産み付けた卵に精子が触れると受精卵となり、父の特徴を完全に排した鮒の子が生まれる
「陶片」
京急沿線
世界というものが夾雑物で満ち溢れて、ほんの些細な事柄からも、亀裂は生まれて、ばらばらに
なるほど脆いというのは心得ている。ならば束の間の調和を遠くから眺めて慈しむよりは、
そこへ身を投げ、愉しんで過ごすべきだろう。
さらには、また、こうした話題を直接口でつたえる相手を持たない孤独は身につまされた
電光影裏に春風を斬る