タヌキとムジナ

先日埼玉県の川島町を歩いた。そこにある字「上狢」・・・

この地名をみてムジナについて考えてみた。
新明解国語辞典には
① タヌキの異称。「同じ穴のー」②アナグマの異称。
とあるがタヌキはイヌ科、アナグマはイタチ科で生物学的には異なる。しかしことわざは「ムジナ」を狸やテン、ハクビシンなどの穴を掘って生活する哺乳類動物の俗称として利用。一般的には狸もムジナも区別されずに考えられている。

昔、「たぬき・むじな事件」という有名な裁判があった。
事件があったのは栃木県の大芦村、今の鹿沼市。
当時タヌキは狩猟法上、捕獲禁止だった。そういう状況で被告はムジナ・・狸とは異なる動物と認識して、捕獲して捕まったのだ。
その大審院判決文の一部
「狸、貉(むじな)の名称は古来併存し、我国の習俗此の二者を区別し毫(いささか)も怪まざる所なるを以て、狩猟法中に於て狸なる名称中には貉をも包含することを明(あきらか)にし、国民をして適帰(てつき)する所を知らしむるの注意を取るを当然とすべく、単に狸なる名称を掲げて其の内に当然貉を包含せしめ、我国古来の習俗上の観念に従い貉を以て狸と別物なりと思惟(しい)し之を捕獲したる者に対し刑罰の制裁を以て臨むが如きは、決して其の当を得たるものと謂(い)うを得ず」
— 判決文から一部抜粋

川島町上狢・・・自然堤防上の集落

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